エゾエノキ保全のための自然観察会
前回お知らせしました『オオムラサキの舞う公園づくり~エゾエノキの保全』の観察会を行いました。
お天気が心配でしたが、何とか時間内は雨にあわずにすみました。
まず、参加者の皆さんに倉庫内に集まっていただき、(有)緑花計画の笠康三郎氏にオオムラサキの食草(寄主植物)であるエゾエノキの分布や生態などについて説明を受け、さらにオオムラサキの研究をされている光塩女子短期大学講師の和田貴弘先生にオオムラサキの生態などについて簡単に講義をしていただきました。
オオムラサキはタテハチョウの中では世界でももっとも大型で、雄の羽は紫色に光り美しい蝶で、日本全国に分布していることなどから日本昆虫学会により『国蝶』とされています。
円山の山頂部で7月~8月によく見られるそうですが、円山原生林は特別天然記念物ですから、植物・動物・鉱物・昆虫などすべてのものの持ち出しや採集は禁止されていますのでくれぐれもご注意ください。
下のオオムラサキは、昨年円山公園横の歩道で死んでいた個体です。
この蝶の幼虫が食べる植物がエゾエノキで、エゾエノキがないとオオムラサキは繁殖できません。
エゾエノキは北海道では札幌周辺、栗山、浜益に数本、道南や奥尻島、様似などに分布しているそうですが、オオムラサキが確認されているのは札幌周辺くらいだそうです。札幌でも、定山渓方面から八剣山、藻岩山、円山などに多く、特殊な地域といえそうです。
レクチャーを受けたあと、屋外に観察に出かけました。
動物園アプローチの杉林の中にも、結構エゾエノキがはえています。
エゾエノキは葉を食害されていますが、その後出た葉は食われておらず、虫に食われることで枯れることはまずありません(緑の濃い部分が食われている葉で、黄緑色が新しい葉)
公園敷地内でもっとも大きいエゾエノキ(写真上右端)です。
この周辺にはエゾエノキの実生苗がたくさん見られます。
このような実生樹をある程度移植して、オオムラサキの越冬繁殖しやすいような環境作りをして、将来もっとオオムラサキが公園内で見られるように保全していきましょう、という勉強会でした。
秋に(10月中旬)に、エゾエノキを移植、ロープ張り、看板立て、株元の掃除など、また観察会を兼ねた集まりを開催したいと思いますので、今回参加された方、オオムラサキやエゾエノキに興味のある方、ふるってご参加くださいね。
本日参加していただいた皆様、およびご協力をいただきました先生方、どうもありがとうございました。お疲れ様でした。